系統用蓄電池は、再生可能エネルギーの拡大と電力市場の整備を背景に、事業機会が急速に広がっている分野です。市場規模を金額と導入容量の両面から把握することは、参入のタイミングや事業計画の妥当性を判断するうえで欠かせません。ここでは、公的機関や調査会社の最新データをもとに、市場の現状と将来の見通しを整理します。
系統用蓄電池を電力市場で運用して収益を得る「蓄電所ビジネス市場」は、急成長が予測されています。矢野経済研究所の調査によると、この市場は2024年度の450億円から、2030年度には4,240億円へと約10倍に拡大すると見込まれています(事業者収入ベース)。2025年度の時点でも750億円規模への成長が予測されており、短期間での立ち上がりの速さが特徴です。
金額だけでなく、実際の導入に向けた動きも急拡大しています。資源エネルギー庁の資料によると、系統用蓄電池の契約申込み容量は2025年6月末時点で全国約1,800万kW(約18GW)に達し、前年同月比でおよそ4倍に増加しました。さらに前段階の接続検討申込み容量は約1億4,300万kW(前年同月比約2.4倍)にのぼります。一方で実際に系統へ連系済みの容量は約25万kWにとどまり、申込みが先行して事業化はこれから本格化する段階にあることがわかります。
市場拡大の背景には、国の明確な方針があります。2025年に閣議決定された第7次エネルギー基本計画では、再生可能エネルギーの主力電源化と、それを支える蓄電池の系統連系の加速が位置づけられました。経済産業省の蓄電池・電源産業戦略でも、国内の蓄電池製造基盤を2030年代半ばに年150GWh確立するといった目標が掲げられており、系統用蓄電池はエネルギー政策の中核を担う存在として後押しされています。
系統用蓄電池の事業性を高めているのが、新しい電力市場の本格稼働です。2024年4月には需給調整市場が全面的に開場し、蓄電所ビジネスの主要な収益源となっています。加えて、将来の供給力を取引する容量市場や、原則20年間の収入が見込める長期脱炭素電源オークションが動き出したことで、収益機会が複線化しました。再エネの出力変動への対応ニーズとあわせて、これらの制度が市場の急拡大を支えています。
系統用蓄電池の成長は、日本にとどまらず世界的な潮流でもあります。脱炭素とエネルギーの安定供給を両立させるため、欧米や中国をはじめ各国が大規模な蓄電池の導入を加速させており、関連する市場も年々拡大しています。こうした世界的な需要の高まりは、機器の量産によるコスト低下を通じて、日本国内での導入環境の改善にもつながっていきます。
市場の拡大は、資金の動きにも表れています。長期脱炭素電源オークションによる原則20年間の収入見通しなど、収益の予見性を高める制度が整ってきたことで、系統用蓄電池はFITに依存しない新たな投資対象として認知が広がっています。事業者だけでなく投資家からの関心も高まり、事業への資金が集まりやすくなっていることが、市場の成長をさらに後押ししています。
系統用蓄電池の市場は、金額・導入容量ともに急拡大しており、政府目標や電力市場の整備がその成長を支えています。契約申込みが前年比約4倍で伸びる一方、実際の連系はこれから本格化する段階にあり、いま参入を検討することには先行者としての意義があります。
ただし申込みの集中による系統連系の長期化など、成長市場ならではの課題も生じています。拡大する市場機会を確実に事業へつなげるためにも、市場動向を踏まえた事業計画づくりから系統連系、運用までを支援できる専門企業を比較し、自社に合ったパートナーを選ぶことが重要です。
系統用蓄電池事業では、事業フェーズごとに求められる専門性が異なります。支援会社によって対応範囲も異なるため、フェーズに合わない会社に依頼すると、対応できない工程は別の会社を探すことになり、事業化が遅れる原因になります。
だからこそ、事業フェーズに合った支援会社を選ぶことが重要です。
当メディアでは、用地選定・設計施工・運用の各フェーズに適した支援会社を紹介しています。各社の特徴を比較し、適したパートナー選定にお役立てください。
